「ねぇ、あなたはどこに向かって歩いているの?」
「僕が行きたい所だよ」

「それはどこにあるの?」
「この箱庭の果て、そう最果てにあるんだ」

「箱庭だなんて!バカみたい!最果てなんてあるものですか」
「まるで世界の全てを見てきたような口ぶりだね」

「この世界が箱庭だなんて!」
「ああ、君。羊の数を数えるだけじゃ、いい夢は見れないんだよ」


2014-02-27

文章zineにこだわってみた


マチオモイ帖に出展する「佐世保帖」が出来上がったのは締め切り日である2月14日だった。

個人の名前が入った本を作ったのは初めてで。A5サイズのzine(ジン)。束の端をホッチキスで留めて両面テープで表紙を付けた。その瞬間、紙の束はその存在を本に変えた。

やったーとか嬉しいーというより、「ほー」っと思った。安堵なのか分からないけど、単純に「ああ、本になったわ」と、当たり前の事を思った。この感覚はTriggerで蜆楽奇譚帖を作った時にも感じた。何度味わっても独特の「ほー」が出てくる。

この本を書く時に決めたのは、文章だけにしようということだった。文章家としての存在意義を一度出し切ってみようかと。だから文章とレイアウト以外の目で見て分かるイラストや写真は一切入れなかった。ただ、途中欲目は出た。1枚だけ紙焼きした写真を最後のページに貼ってみようかなとか思った。でもやっぱ違うよ、俺、写真家じゃないじゃない。イラストレーターでもないじゃない。文章家でしょ?じゃあ文章で押し切れよ。写真入れたいんだったら最初から写真家と組めよ。イラスト入れたいんだったらイラストレーターと組めよ。今回は文章本にするって決めたじゃないか。そんなことも考えたりして書いてた。

本という形にするのは久しぶりの事で、楽しい作業だった。印刷をお願いしたロコプリさんのご厚意でずいぶんいい紙を取り揃えてもらってびっくりするくらい上質な本になった。ロコプリさんの大将の「応援してやる!」っていうその気持ちがとても嬉しかった。またいろいろお願いしよう。

やはりzineは面白い。もうちょっと荒い感じの本とか作ってみたくなる。自由過ぎるアウトプットはいつだって面白い。



『my home town わたしのマチオモイ帖』

わたしのマチオモイ帖 公式サイト


【東京会場】
会期:2014年2月28日(金)~3月23日(日)
   11:00~19:00(会期中無休)
会場:東京ミッドタウン・デザインハブ
   東京都港区赤坂9-7-1
   ミッドタウン・タワー5F
入場無料 


【大阪会場】

会期:2014年3月7日(金)~3月29日(土)
   平日:11:00〜21:00
   土日祝:11:00〜19:00(会期中無休)
会場:メビック扇町
   大阪市北区扇町2-1-7
   関テレ扇町スクエア3F
入場無料


「佐世保帖」という本で出展しています。会場で見かけましたらぜひ手に取ってご覧くださいませ。

2014-02-12

思い出を再構成した物語

マチオモイ帖の原稿を印刷に出した。明日には刷り上がってホッチキスと両面テープで自家製本をしていく。物語のような詩のような散文のようななんともはっきり分からない自由過ぎる文章を12編書いた。

いろいろ思い出して何かと何かを組み合わせて構成する。コラージュってこんな感じかな。例えばあの人の人格とこの人のエピソードを合わせて一つのキャラクターにしたり、印象的だったアイテムを関連の無い場所で使用させてみたり。結果、ノンフィクションのパーツを使った、「フィクション」が出来上がった。

きっと知らない人が読んだら体験談だと思うんだろうけど、全然違う。でも全てを説明する事が出来る。

このお話を作るにあたって色んな人を思い出した。お世話になった皆さんは当たり前なんだけど、それこそ一回しか喋った事のないような人を急に思い出したりした。記憶の引金ってあるんだなぁ。

書き上がった日に、大学の恩師から「元気にしてますか?」ってメールが来たのは驚いた。ただ、この本を先生に送るのはちょっと気が引ける。そんなナイーブなキャラじゃなかったじゃんって言われそうで。