「ねぇ、あなたはどこに向かって歩いているの?」
「僕が行きたい所だよ」

「それはどこにあるの?」
「この箱庭の果て、そう最果てにあるんだ」

「箱庭だなんて!バカみたい!最果てなんてあるものですか」
「まるで世界の全てを見てきたような口ぶりだね」

「この世界が箱庭だなんて!」
「ああ、君。羊の数を数えるだけじゃ、いい夢は見れないんだよ」


2021-09-28

第九回文学フリマを終えて

 昨日は、第九回文学フリマだった。

文学フリマとは、「自分が〈文学〉だと信じるものであれば、基本的にどんな形態のものでも構わない」という自由な形の文学限定同人即売会。2002年から東京で開催されているが、現在は様々な地方でも開催されるようになり、広がりを見せている。大阪では2013年に初めて「第十六回文学フリマin大阪」として開催され、翌年から第二回文学フリマ大阪となり今年で第九回となった。

発起人の一人である大塚英志氏の「文学創作はすべての人に平等に開かれている。決して職業作家だけに与えられた特別なものではない」という考えが好きで、その思いが形になったこの文学フリマというイベントにずっと興味があった。だからこそ、大阪で開催されるときにはとても嬉しかったのを覚えている。

当時活動していたアートユニットの「Trigger」の3人で見に行き、来年は必ず出店しようと決め、第二回に初めて参加した。第四回からはソロで出店するようになり、それも今年で6年目になった。

「作り手としての自分を、人前に晒してみたい」という個人的な思いがあったのだが、実際にやってみると「人の反応をダイレクトに受ける」ということを肌で感じる機会になった。仕事でのライティングとは何か違う・・・。説明が難しいのだが、完全に個人の「詩、散文、或いは物語」を創作して、その世界が他者にどう捉えられているかが伝わってくる。その伝わり方は、数百円だろうがお金を払ってでもこの作品を持って帰って読みたい、手元に置いておきたいと思ってもらえるかどうかである。フリーペーパーであっても自分の作品を「欲しい」と思ってもらえる嬉しさは、心の底から湧き上がる感動でもある。

そして、同じ空間に集う「物書きたち」の想いと作品にも、自分の魂のようなものを揺さぶられている。プロもアマも関係ない。イマジネーションを貪り、文章を吐き出しまくる猛者どもと相対することで、自分も同族なのだと改めて認識させられる。

「自分自身を〈作家〉としてもっと前に出していこう」と決めた2013年4月。当時の僕は、37歳だった。気持ちの上でとても重要なターニングポイントだからこそ、後につけることとなった「37+c」という屋号には、メインコンセプトである「37℃の少し高い体温で書く文章」の裏テーマとして「37歳だった時のあの想い」も込めている。

来年はいよいよ第十回。次は何をアウトプットしていこうかとても楽しみである。