「ねぇ、あなたはどこに向かって歩いているの?」
「僕が行きたい所だよ」

「それはどこにあるの?」
「この箱庭の果て、そう最果てにあるんだ」

「箱庭だなんて!バカみたい!最果てなんてあるものですか」
「まるで世界の全てを見てきたような口ぶりだね」

「この世界が箱庭だなんて!」
「ああ、君。羊の数を数えるだけじゃ、いい夢は見れないんだよ」


2015-03-11

「歩いている」

私は森の中を歩いている。

緑の木々から差す木漏れ日を浴びて、ふと思う。

私はどこに進もうと思っていたのだろう。
これは果たして道なのだろうか。
なんとなくの方角は分かっている。
だけどそっちに向かうのが「正しい」のか、
それとも「間違っている」のか分からない。

私は浜辺を歩いている。

乾ききった流木を横目に波の音を聴き、ふと思う。

私はどこに進もうと思っていたのだろう。
どこまでも続く砂浜と先のイメージすら出来ない海に
終わりはあるのだろうか。
浜辺の砂の一粒と海中で波が作る泡粒に思いを寄せる。
彼らはどこに行くのだろう。

私はどこに行くのだろう。

どこかで鐘の音が聞こえる。
誰かが大きなバイクに乗っている。
足下を羽のない黄金虫と妖精の女の子が駆け抜けた。
私はポケットの中で冷えた鋼鉄の感触を確かめて空を見上げる。
どうやらスターシップは墜落したらしい。

私は立ち止まり、自分の歩いてきた道を思い返す。

どこかでパレードの音が聞こえている。
オレンジ色の猫が静かに笑って頷いた。

私は歩いている。

0 件のコメント:

コメントを投稿